どんな検査?
『EMMA(エマ)』は子宮内膜マイクロバイオーム検査、『ALICE(アリス)』は感染性慢性子宮内膜炎検査のことです。
<EMMA>
以前は、無菌と考えられていた子宮内にも、細菌叢(さいきんそう)の存在が確認されています。細菌叢とは、細菌の集合のことで、フローラともいいます。子宮内がラクトバチルス (乳酸菌) で占められていると着床に対して子宮内環境は良好であると考えられていますが、ラクトバチルスの割合が低下すると子宮内環境が悪化し、着床障害をきたす可能性が示されています。EMMAは、子宮内にどのような細菌叢がどれだけの割合で存在するかを調べる検査です。
<ALICE>
細菌叢バランスの破綻から子宮内環境が悪化すると、『慢性子宮内膜炎』を引き起こすと考えられています。腹痛や発熱を伴う急性子宮内膜炎とは異なり、「慢性」子宮内膜炎はほとんど症状なく経過し、明確な診断基準がなかったこともあって、これまで見過ごされて疾患です。慢性子宮内膜炎は、不妊症、特に反復着床不全および不育症との関連性が認められています。ALICEは、この慢性子宮内膜炎の原因菌の検出を行う検査です。
いつするの?
月経時期以外でしたら、いつでも検査は可能です。ただし、ERA検査も同時に行う場合は、ERA検査を行う時期に行うことが必要です。
何がわかるの?
EMMAでは、最新のDNA解析技術により、子宮内のすべての菌のDNA塩基配列を短時間で調べることができ、細菌叢の正確な診断が可能になりました。検査の結果、ラクトバチルスの割合が低下し、細菌叢のバランスが破綻していれば「着床障害の可能性が高い」と判断し、細菌叢のバランスを回復する治療を行います。検査会社から推奨する治療法が提案されます。
ALICEでは、慢性子宮内膜炎に関与すると考えられている10種類の病原菌にターゲットを絞って検出します。検出された病原菌の種類によって、検査会社から推奨する治療法が提案されます。
検査の結果異常が見つかった場合には、検査会社が推奨する治療法に基づき、乳酸菌製剤を子宮内に挿入するなどして子宮内の乳酸菌の割合を高めたり、慢性子宮内膜炎の病原菌に対する抗生物質の内服をしたりすることによって治療を行っていきます。
EMMAとALICEは1回の検体採取で両方の検査が可能です。また、『子宮内膜受容能検査(ERA)』も同じ検体で行うことが可能です。 検査結果が出るのに2~3週間要します。