- 正確に予測した排卵日に、子宮内に直接、精子を注入して、妊娠を期待する
- 軽度の男性不妊の方、タイミング法で一定期間、妊娠されない方などが適応
- 当クリニックのAIHの妊娠率は、全国平均の5~10%を上回る好成績
- AIHにて妊娠した方の9割は、6回目までに妊娠している
AIHでは、元気な精子を選別し、排卵直前のタイミングで確実に子宮の奥へと注入。卵子を目指して精子が泳ぐ距離は半分に
精子の数が少なかったり動きがにぶかったり(軽度の男性不妊)、また子宮の入り口から分泌される頚管粘液の状態が悪かったりすると(頸管粘液分泌不良)、十分な数の精子が子宮内に進入できません。このようなケースでは、通常の夫婦生活での妊娠は難しいといえます。
そこで専用のカテーテルを使い、排卵のタイミングに合わせて精子を直接子宮内に注入して、自然な受精と着床を期待しようというのがAIHです。
タイミング指導を半年から1年試してもうまくいかない場合も、このAIHに進みます。
当クリニックのAIHの妊娠率は、全国平均(5~10%)よりも高い傾向にあり、もっとも良い成績だった年の治療周期あたりの妊娠率は約14%でした。同年は、人工授精にチャレンジされた方のうち、約3人に一人が人工授精によって妊娠されています。しかも、そのうち9割以上の方が人工授精6回目までに妊娠。また、約7割が3回目までに妊娠しています。このことから、AIHが有効だと考えられる回数は、おおよそ6回くらいである(とくに3回目までは期待が持てる)と考えることができます。もちろん、残る1割の方は7回以上続けられたからこそ、妊娠されたということも忘れてはいけません。
AIH6回で妊娠に至らなかった場合、体外受精や顕微授精の段階にステップアップするべきかどうかは、ご夫婦の価値観や奥さまのご年齢など、様々な状況を考慮して、お二人で決めていただきます。
なお、当クリニックでは【産み分け】は行っておりません。
- 排卵日を正確に予測
過去の基礎体温表や超音波検査で測った卵胞サイズから、排卵日を正確に予測します(タイミング法に同じ)。AIHは、できれば排卵予測日当日、都合がつかなければ前日に予定します。ポイントは、卵子より先に精子を卵管膨大部に送り込むこと! - 排卵検査薬がプラスになったら採精
ドクターに指示された日から、排卵検査薬(尿中LH検査薬)を使用。陽性になったら、専用容器にマスターベーションで精液を採って、クリニックへ。 - 元気な精子を選びます(洗浄・濃縮)
精液はそのまま注入するのではなく、密度勾配法を用いて 動きのいい元気な精子を選び出し、それを濃縮してAIHを行います。 - 子宮内に精子を入れます
専用のカテーテルを子宮口から子宮の中に入れ、0.5ml以下の洗浄・濃縮処理をした精液を注入します。 - 排卵促進剤(hCG製剤)の注射で排卵を後押し
排卵誘発剤を用いた周期は、AIH前日、もしくは当日に排卵誘発剤(hCG製剤)で確実な排卵を促します。 - タイミングがあっていたかの確認
AIH後、実際に排卵が起こっていたかどうかの確認を行います。
不妊検査で、排卵障害など薬剤で解決できる問題が見つかった場合には、投薬治療を併用しつつ、不妊治療のステップを上がっていきます
排卵誘発剤
自然には排卵が起こりにくい、もしくは起こらない場合、または黄体の働きが悪い場合などに使います。
飲み薬/シクロフェニル製剤
もっとも軽い排卵誘発剤です。クロミフェン製剤にくらべれば、排卵誘発効果はそれほど強くありませんが、目立った副作用もありません。
飲み薬/クロミフェン製剤
軽い視床下部性の排卵障害や多嚢胞性卵巣(PCO)などに有効な脳に働きかけるタイプの排卵誘発剤です。従来より、広く使われてきました。ただし副作用として、頸管粘液が少なくなる欠点があります。
飲み薬/レトロゾール製剤
軽い視床下部性の排卵障害や多嚢胞性卵巣(PCO)などに有効な脳に働きかけるタイプの排卵誘発剤です。眠気などの副作用がありますが、大きな欠点がなく、近年、よく利用されています。
注射/hMG(FSH)+hCG療法
クロミフェン製剤やレトロゾール製剤で効果がなければ、注射タイプの排卵誘発剤(hMG製剤)と排卵促進剤(hCG製剤)を併用することがあります。
そのほか一般不妊治療で使われる薬
hCG製剤
hCGは、胎児の絨毛(やがて胎盤になる組織)から分泌されるホルモンで、卵胞の最終成熟と卵子の排出(排卵)を促す黄体化ホルモン(LH)に分子構造が似ていることから、排卵促進剤として用いられます。
カベルゴリン製剤
乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)の値が高いときには、排卵障害や着床障害を起こす可能性があるので薬で抑制します。
甲状腺ホルモン剤
甲状腺機能低下症の場合も、過多月経、無排卵、流産、高プロラクチン血症などの原因になるとされています。甲状腺ホルモンを補う必要がありますが、投薬量のコントロールが難しいため、専門医との協力のもとで行なっています。
漢方薬
体質、症状にあった漢方薬を処方します。体調を整え、妊娠の可能性を高めるためには有効です。