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体外受精・顕微授精

体外受精や顕微授精は、体外に取り出した卵子と精子に受精を促し、
得られた受精卵を子宮内に移植して妊娠を期待する治療法です

『体外受精(IVF)』や『顕微授精(ICSI)』などの『生殖補助医療(ART/アート)』は、女性の体内で卵子と精子が出会い受精が起こる一般不妊治療(『タイミング法』や『人工授精(AIH)』)と違って、奥さまの卵子を体外に取り出して、ご主人の精子と一緒にすることで受精を促し、得られた受精卵(胚)を子宮内に移植して妊娠(着床)を期待するという治療法です。
3段階あるステップアップ治療においては、このARTがもっとも医療の介入度が高い治療ですが、同時にもっとも1治療周期あたりの妊娠率が高い治療でもあります。
世界ではじめての体外受精児が誕生(1978年)してわずか40数年の間に、ARTによる治療はすっかり一般的なものになり、2022年4月からは健康保険が適用される保険診療になりました。ARTで生まれた子どもは、世界ですでに500万人を超えたといわれています。この日本でも、年間6万人以上の赤ちゃんがART治療によって生まれています。

母になる体に優しい、安全なARTを

ARTのもっとも厄介で危険な合併症は、『OHSS(卵巣過剰刺激症候群)』です。排卵誘発剤を用いた卵巣刺激で、卵胞が10個以上発育する方は、OHSS発症の可能性があります。20個以上できるような方は、従来の卵巣刺激法ではOHSSのリスクがかなり高くなります。ただ、このような方でも、新しい卵巣刺激法である『PPOS(黄体ホルモン併用卵巣刺激)+点鼻薬トリガー法』を用いることで、OHSSをほぼ回避することができるのです。当クリニックではOHSSの発症が心配される方には、この方法を用いてARTを行っています。その結果、山下レディースクリニックでは、平成18年以来、OHSSの重症例は一例もありません。

妊娠という結果はもちろん大切ですが、それ以前に奥さまの体が大切です。当クリニックでは、高度な技術と安全性を両立した治療を心がけています。

体外受精・顕微授精の流れ

体外受精・顕微授精は、以下のような手順で行います

PDF資料:採卵を受けられた方へ

  1. よい卵をたくさん育てます(卵巣刺激)

    排卵誘発剤を使ってたくさんの卵胞を育てます。卵子を体外にとり出す前に自然に排卵してしまうことがないように、併行して黄体ホルモン剤を服用し、脳が採卵前に排卵指令を出さないようコントロールします。採卵の36時間前に点鼻薬を使って、卵子の最終的な成熟をうながします。

    >> 調節卵巣刺激とは

  2. 卵子を体外にとり出します(採卵)

    麻酔をかけ、長い注射針を膣の壁から卵巣内の卵胞に刺し入れて、卵胞液ごと成熟した卵子を吸引します。

  3. 卵子と精子を一緒に(媒精or顕微授精)

    マスターベーションで採精された精液を洗浄・濃縮して元気な精子を選び、卵子の入ったシャーレに加え(媒精)、自然な受精を待ちます(体外受精)。

    >> 体外受精(IVF)とは

    重度の男性不妊症などの場合には、1個の卵子に1個の精子を針で注入することで受精を促す顕微授精(ICSI)を実施します。

    >> 顕微授精(ピエゾICSI)とは

  4. 胚(受精卵)を育てます(胚培養)

    採卵の翌日に受精したかどうかを確認した後、できる限り胚の培養を続け、胚盤胞(着床時期の胚/採卵5~6日後)まで培養します。
    低刺激法やアンタゴニスト+点鼻薬トリガー法でとれた卵子数、得られた受精卵の数が少ない場合には、4~8細胞期胚(初期胚/採卵2~3日後)の新鮮胚移植や胚凍結を行うこともあります。

    >> 胚のグレード

    >> 胚盤胞移植とは

  5. 良好な胚を凍結保存します(胚凍結保存)

    得られた胚盤胞の中で、着床が期待できそうな良好胚を凍結保存します。保険診療では、奥さまの年齢によって胚移植の回数が制限されています(子ども1人あたり、40歳未満であれば6回まで、40~42歳は3回まで。43歳以上の場合、ARTは保険適用外となり自費診療になります)。

    >> 胚凍結(超急速ガラス化法)とは

  6. 妊娠しやすい環境に(黄体補充)

    採卵とは別の周期に、移植した胚が着床しやすい状態にするため、卵胞ホルモン剤や黄体ホルモン剤を投与し、理想的な内膜環境に整えます(ホルモン補充周期/HRT周期)。※月経が規則的で子宮内膜の状態が良い場合には、自身のホルモンで内膜を整える排卵周期に移植を行うこともあります。

    >> 自然周期とHRT周期とは

  7. 凍結胚を融解してからお母さんの子宮に(ET/凍結融解胚移植)

    凍結してあった胚盤胞を融解し、子宮内膜が胚を受け入れる態勢にある時期(着床の窓が開いている時期)に合わせて移植をします。
    着床率が高いとされる、見た目のグレードがもっとも良好な胚から基本的には1個(※)を選び、カテーテルを使って子宮内に移植して、着床を期待します。
    (※)日本産科婦人科学会は、不妊治療による多胎妊娠を減らすため、「35歳未満の女性なら1個」、また「35歳以上の女性や反復不成功例の場合でも2個まで」にとどめるよう会告を出しています。

    >> 凍結融解胚盤胞移植とは

  8. 無事、着床してくれたでしょうか(妊娠判定)

    胚盤胞移植から2週間後、妊娠したかどうかを判定します。胚が着床していれば、絨毛(のちに胎盤になる組織)からhCGという成分が分泌されます。尿の中からhCGが検出されれば、それは赤ちゃんからの「ここにいるよ」のサインなのです。

これが山下レディースクリニックのART ~十の特徴~

一、母体に優しいPPOS(黄体ホルモン併用卵巣刺激法)+点鼻薬トリガー法

PPOS+点鼻薬トリガー法 6つのメリット

  1. 黄体ホルモン剤の内服で、排卵をほぼ完全に抑止できる
  2. 卵子を安定して採取できる
  3. 卵胞チェックの頻度や通院回数を減らせる
  4. アゴニスト法などに比べて、薬剤の費用が安い
  5. OHSS重症化をほぼゼロにできる
  6. 再度の採卵が必要な場合、間隔を短めにできる

>>『PPOS+点鼻薬トリガー法』についてはこちら

二、さらに母体に優しい準自然周期

刺激周期でも卵胞がたくさん育たない方は、体に優しい準自然周期の適応。卵巣に負担がかからないため、毎周期でもチャレンジ可能。今周期はいつになく良い卵子が育った……、そんなチャンスを逃しません。

>>準自然周期についてはこちら

三、卵子に優しい顕微授精(ピエゾ法など)

ピエゾ法と当クリニック独自の精子注入法を用いて、可能な限り卵子に優しい顕微授精を実施しています。

  1. 卵細胞膜の弱い卵子に対するダブル・インジェクション法
    日本IVF学会で優秀学術奨励賞を受賞するなど高い評価を受けている、当クリニック独自の方法です。
  2. 卵子に優しい安全な顕微授精(ピエゾICSI
    <ピエゾ法>
    従来法では、卵子が精子の注入時に大きく変形しますが、当クリニックでは、2007年より国内でも先駆けて、卵子へのダメージ少なく精子を注入できるピエゾ法を採用。顕微授精が必要な全症例に対してピエゾICSIを実施。
  3. 精子頭部の大きさに合わせてピペットの直径を最小化
    卵子へのダメージを減らするため、患者さま一人一人の精子頭部の大きさに合わせて、その都度、ピペットの直径をできる限り細くしたものを作成。

    患者さまの精子の大きさに合わせて当クリニックで作製したピペット(先端外径約4μm)

>>顕微授精(ICSI)についてはこちら

四、タイムラプス(先進医療)

培養中の胚へのストレスをかけることなく本当に良い胚を見極めるためのモニタリングシステム、タイムラプス培養を導入しています。

>>すべての受精卵の発育状況を常時観察

五、凍結融解胚移植

『山下レディースクリニック』は、母体に優しいPPOS+点鼻薬トリガー法を採用し、一度の採卵で、より多くの卵を得ることを目指しています。それによって、より多くの良好胚(とくに胚盤胞)を凍結保存。1個ずつ融解して子宮内に戻すことで、移植回数を最大限に確保します。 身体的にも経済的にも負担の大きい採卵回数を減らしつつ、安全に、最大限の妊娠のチャンスを生み出すことができます。

>>凍結融解胚移植についてはこちら

六、初期胚移植

胚盤胞移植を目指すには受精卵の数が少ない方、なかなか胚盤胞ができない方は、初期胚の新鮮胚移植や凍結融解胚移植を試み、可能性を探ります。

七、SEET法(先進医療)

『SEET(シート)法』は、二段階胚移植の問題点(多胎妊娠)を回避するために誕生した単一胚移植の改良法で、着床率UPを狙います。

>>『SEET法』についてはこちら

八、40歳以上の方へのオプションプログラム

  1. 40歳以上で比較的良質な受精卵のできる方へ
    → 連続採卵(自費ART)をして受精卵の凍結ストックを蓄える

    あらかじめ目標の採卵回数あるいは凍結受精卵の数を決めて、連続した周期で採卵を行い、少しでも年齢の若いうちの受精卵を複数凍結しておくのも1つの治療戦略としてご提案しています(自費ART周期のみ)。

  2. 凍結融解胚移植にて妊娠反応の認められなかった方、繰り返し流産をされた方へ
    → 受精卵の着床をサポートするヒアルロン酸の添加された胚移植専用培養液

    ヒアルロン酸は胚盤胞と子宮内膜とをつなげる接着剤のような働きをします。凍結融解胚移植時にこの培養液とともに子宮内に移植された受精卵は、十分なヒアルロン酸に覆われ、子宮内膜に接着しやすくなり、また、妊娠の継続を確実なものにすることが期待できます。
    ※『ヒアルロン酸胚移植溶液』は、デンマークのオリジオ社が開発したET 専用の培養液です。

九、無精子症と診断された場合のMD-TESE

畷生会脳神経外科病院の泌尿器科部長・増田裕医師との連携により、『顕微鏡下精巣精子回収術(MD TESE)』を実施しています。無精子症と診断された場合でも、精巣内から精子 が回収できれば、『顕微授精(ICSI)』により妊娠できる可能性があります。

>>MD-TESEについてはこちら

十、充実の安全対策

  1. とり違え対策
    → 2次元バーコード(QRコード)による電子認証システム

    当クリニックでは、受精卵の取り違えを防止するため、複数人員によるダブルチェックシステムを実施するとともに、独自に開発したQRコードによる受精卵(卵子、精子)の電子認証システムを採用しています。
  2. 耐震対策
    → 培養器および凍結保存タンクの固定

    大きな揺れの中でも移動したり、転倒したりしないよう万全の態勢をとっています。
  3. 停電対策
    → バックアップ電源の設置

    電源が喪失すると、培養器の庫内保温やガス供給といったシステムが止まってしまいます。そのために非常用バックアップ電源を備えています。

山下レディースクリニック

受付時間
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休診日
日曜・祝日
Tel
078-265-6475
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院長
日本生殖医学会認定
生殖医療専門医
山下 正紀
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