- 山下レディースクリニックでは、毎月、第一&第三土曜日に男性不妊外来を開設
- 不妊症のカップルの半数は、男性にも原因がある
- 遠回りの不妊治療にならないよう、精液検査は早めに受けたい
- 重度の男性不妊でも、そのほとんどはART治療で乗り越えられる
不妊に悩むカップルの半数には、男性にも不妊原因が見つかります。
早めの精液検査が妊娠への近道です。
男性の妊孕力と不妊原因
妊孕力(にんようりょく)とは、女性の場合は妊娠する力、男性の場合は妊娠させる力のことをいいます。男性の妊孕力は、大きく分けて二つ。一つ目は、夫婦生活を持ち、膣内に射精できること。二つ目は、その精液内に運動能力と受精能力を兼ね備えた精子が、充分な数存在することです。このどちらかに問題があると、不妊の原因になります。一つ目に問題がある性機能障害は、ご本人も自覚できますが、二つ目の造精機能障害に関しては、精液検査を受けていただかなければわかりません。
<おもな男性不妊の原因と治療>
性機能障害 | 勃起障害(ED) 射精障害(膣内射精不能症) |
薬物療法、AIH AIH |
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造精機能障害 | 乏精子症 精子無力症 奇形精子 不動精子症 精子死滅症 非閉塞性無精子症 |
AIH、IVF、ICSI AIH、IVF、ICSI AIH、IVF、ICSI AIH、ICSI MD-TESE ICSI MD-TESE ICSI |
精路通過障害 | 閉塞性無精子症 精索静脈瘤 膿精液症 逆行性射精 など |
精路再建術、TESE ICSI 手術療法、AIH、IVF、ICSI 薬物療法、AIH、IVF、ICSI 薬物療法、IVF、ICSI |
早めに受けたい精液検査
不妊治療を行っていくうえで、通院が必要になるのは、おもに奥さまのみです。それでも、『タイミング法』から治療をスタートするためには、
- 排卵があること(排卵誘発剤使用含む)
- 少なくとも片側の卵管が通っていること
- 精液の状態に問題がないこと
以上3点が絶対条件になります。つまり、あらかじめ精液検査を受けていただく必要があるのです。精液の状態を調べずに、タイミング法を長期間続けたのち、男性不妊であったことがわかった場合などは、「これまでの通院は何だったんだろう・・・」ということになりかねません。実際、不妊に悩むカップルの半数に、男性不妊の問題が見つかります。お二人の赤ちゃんを迎えにいく道のりが遠回りにならないよう、早めの精液検査をおすすめします。
※なお、精液検査のみであれば、いつでも可能です。院内での採精をご希望の場合は、午前診の場合は12時、午後診の場合は18時半までのご予約をお取りください。
男性不妊外来(担当/増田医師)の初診時に精液検査をご希望の方へ
近隣にお住まいの方、もしくはすでに奥さまが通院中の方は、事前に精液検査用容器を当クリニックからお持ち帰りいただき、ご自宅にて採精のうえ持参いただけると診察がスムーズです。容器を取りにきていただく際の予約などは不要です。
精子運動解析システム(SMAS: Sperm Motility Analysis System)を用いた精液検査
当クリニックでは、より正確に精液の状態を分析することを目的に、精液の自動分析装置『精子運動解析システム(SMAS)』を用いて、精液検査を行っています。従来の保険診療による精液検査(目視で実施)に比べて、精子の運動速度や直進性など精子の運動性にかかわる、より詳細なデータ解析が可能になりました。
いつ | 4~5日の禁欲後(長過ぎる禁欲は、精子の運度率を落とします) |
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どのように | マスターベーションにて専用容器に採取(コンドーム使用不可)。自宅で採精された場合には、できるだけ2~3時間以内にクリニックへご提出ください。容器を極端に冷やしたり、暖めたりすると精子の運動率が低下することがありますので、運搬される際は気をつけてください。 院内のメンズルームをお使いいただくこともできます。 |
わかること | 造精機能障害がないかどうかがわかり、お二人に最善の治療方法を決定するのに役立ちます。 |
<正常な精液所見(WHO 2021)と男性不妊の分類>
正常の基準値 | 男性不妊の分類 |
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精液量…1.4ml以上 | 1.4ml未満は精管の閉塞性疾患や逆行性射精の疑い |
pH…7.2以上 | pH7.2未満は閉塞性無精子症や先天性精管欠損症の疑い |
精子濃度…精液1ml中に精子が1600万個以上ある | 精液中の精子数が少ないorない 乏精子症・無精子症 |
総精子数…3900万個 精子運動率…運動精子が42%以上、前進運動精子が30%以上 |
運動精子(高速運動精子)の割合が低いorない 精子無力症・不動精子症 |
精子形態正常率…正常形態精子が4%以上 | 正常形態精子が4%未満奇形精子症 |
精子生存率…精子の生存率が54%以上 | 精子の生存率が54%未満精子死滅症 |
※WHOの精液所見に対しての下限基準が2021年に変更されました。
男性不妊外来のご案内
射精障害や勃起障害などの性機能障害のある方、精液検査の結果についての詳しい説明をご希望の方など、泌尿器科医の診察をご希望の方は、毎月、原則第一&第三土曜日に開設している男性不妊外来をご予約願います。
担当医/泌尿器科医・増田裕医師(大阪府交野市/交野病院 泌尿器科部長)
<プロフィール>
1993年に大阪医科大学を卒業し、臨床研修を開始。1994年枚方市民病院で経験を積み常勤医となる。1997年大阪医科大学大学院医学研究科博士課程に入学(泌尿器科科学専攻)し、泌尿器科専門医取得。2002年枚方市民病院泌尿器科副部長。2005年藍野病院泌尿器科部長。2009年から、当院と連携してTESEを行なう。2012年に生殖医療専門医を取得。2016年畷生会脳神経外科病院泌尿器科部長を経て、2024年交野病院泌尿器科部長。
日本で50人ほどしかいない、生殖医療専門医と泌尿器科専門医の両方を持つ泌尿器科手術、男性不妊治療のエキスパート。- 日時/毎月、原則として第一&第三土曜日、10:00~12:00
- 完全予約制/診察をご希望の方は、お電話(078)265-6475いただくか、来院時に、直接、受付にてお申し込みください。