不妊症は、原因がどちらにあろうとも、夫婦二人で背負い、立ち向かう病気です。
夫の精神的サポートがものをいいます。
妊娠しにくいのには、必ず理由があるのです。WHO(世界保健機構)の調べでは、調査対象の不妊症のカップル7273組のうち、女性のみに不妊原因があったご夫婦は約41%、男女両方が24%、男性のみが24%でした。つまり、不妊に悩むご夫婦の半数は、男性にも不妊原因があるということです。ですから治療をはじめようというときは、できるだけ早い段階で、ご主人さまも不妊の基礎検査である精液検査を受けるべきなのです。
もしも仮に不妊原因と疑われるものが、あなただけに見つかったとしても、負い目に感じることはありません。逆も同様です。不妊症というものは、あくまでも夫婦単位の問題なのです。
ところが実際に不妊治療がはじまると、負担のほとんどは女性が一身に背負うことになります。中には、痛みをともなったり、不快な副作用があらわれたりする治療もありますが、このような身体的苦痛を妻だけに強いることになるのは実にはがゆいものです。また、定期的に病院に通う、ただそれだけのことも仕事を持った女性には大変なことです。治療のタイミングを逃したくないという思いと、職場に迷惑はかけられないというジレンマ。もちろん私どもとしても、終業後に通えるような診療時間にする、卵巣刺激の注射などは自己注射をご指導するなど、個別に相談してもらい、できる限り臨機応変に対応し、両立の助けになるような態勢をとっていますが、どうしても補え切れないケースもあるでしょう。
さらに、毎周期毎周期、計り知れない喪失感を味わうのも女性です。「今度こそ!」と期待する思いに夫婦間の差はなくとも、身体の微妙な変化を敏感に察知しながら、高温期の間中、ついに宿ったかも知れない新しい命を想像する女性にとって、月経の開始はあまりにもショッキングな希望の幕切れなのではないでしょうか。そこにいたはずの赤ちゃんが消えてしまうのです。しかもこの“期待”と“絶望”の揺れ幅は、治療が長期化するほど大きくなり、荒波にもまれているような気持ちになる人も少なくありません。
ここで重要なのが、夫の精神的な支えです。診察のある日はとくに妻を気遣い、その日の様子などをさり気なくたずねてみましょう。あなた自身、一緒に取り組んでいるのだという一体感を感じることが大切です。このような夫のサポート力の違いが、お二人が不妊治療を乗り切る推進力の差を生んでいるようです。どうかあなたの力を貸してください。